Addicted to you
 貴志さんが部屋から出て行ってベットに横になると、海さんとの思い出が思い出されていく。
 海さんも私が何か失敗して謝る度に、何度も頭を撫でてくれた・・・。

 よく洗い物の最中お皿を割ってしまった私は、新聞を読んでいる海さんのところへ謝り行く。

『あの、海さん・・・ごめんなさい』

 そう言うと、海さんは訝しげに新聞から顔を上げて私を見る。

『どうした?』
『またお皿をわっちゃったんです・・・』

 メガネの奥の切れ長の涼しげな瞳が顰められる。

 いつもお皿をわってしまう私は、進歩のない行動に今度こそあきれられてしまうのではないかと心配だった。

『キミに怪我はないか?』
『はい、全然』

 でも、海さんはいつものように私の心配をしてくれて・・・。

『では、気にするな。お皿はまた買えばいい』
『海さん・・・』

 そんなふうな会話が何度と繰り返され、貴志さんのように微笑んだりはしなかったけど、海さんはその度に私の頭を撫でてくれた。

 思い出すと、海さんが好きで好きで堪らない気持ちが溢れてくる・・・・・。

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