Addicted to you
「君のだろう?」
「は、はい。ありがとうございます」
「こんな大きな突起物に躓くなんて、君は随分ドジなんだな。まあ、あんなふうにふらふらと歩いていれば当然の結果と言えるが」
「・・・・」

 初対面の人にハッキリと言われ、私は恥かしくて俯くしかなかった。
 その人は、そんな私の様子にすぐに気付いたのだ。

「すまない。言い過ぎた」

 そらした横顔に少し頬が赤いように見えて、私は笑って首を振った。

「気にしないで下さい。私、本当にドジなんです。喉が渇いたからどこかに入ろうと思いつつなかなか決められず悩んでいて、つい注意力を疎かにしてたんですから」
「・・・・君は1人なのか?」
「はい」

 その人は少し考えるように眉間にシワをよせ、メガネのフレームのブリッジを指で押し上げて直す。

「俺もちょうどコーヒーでも飲もうと目的地に向かっていた所だ。地元の人間に聞いたオススメの場所らしいんだが、君も来るか?」
「え?」
「君も喉が渇いて探していたのだろう? もちろん、君にも予定があるだろうから、無理にとは言わないが?」

 その言葉に、私は慌ててうなずいた。

 この人ともっと一緒にいたい。
 もっとこの人とお話したいと思ったからだ。

「行きます!」
「そうか、では行くか?」
「はい!」

 それがあの人との出会いだった・・・・。
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