Addicted to you
 あの人が地元の人に聞いたというコーヒーショップは本当にコーヒーが美味しくって、店内はゆったりとしていて落ち着ける場所だった。

「・・・せとないかい?」
「セトウチ カイだ・・・」
「あっ! ご、ごめんなさい」

 名刺を貰って間違った読み方の名前を読み上げた私に、瀬戸内さんは不機嫌そうに修正し、私は慌てて謝った。



 瀬戸内 海。



 ユーモアのセンスがあるんだか、面白がってわざとつけたのか判らないけど、私はいい名前だなって思った。

 意識しなければ、ごく普通の名前と変わらない。

 瀬戸内さんのイメージに合っているし、それになんと言っても、1度見たら忘れられないような名前だと思う。
 名刺を作る男性としてはいいと思うのだけど、瀬戸内さんはあんまり自分の名前が好きじゃないみたいだった。

 切れ長の瞳と整った容姿。

 それに洗礼されているような動きに圧倒されてしまうけれど、それが素敵だと思った。

 瀬戸内さんが社長秘書の仕事をしている事。
 ここには社長さんのお供でついてきたらしい事などを話してくれた。
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