好きだからBLの恋
 繰り返される蹂躙。
 屈辱的な毎日。
 久音は女性に対し、嫌悪感を募らせた。

 預けられた先の家の両親はとてもいい人で、久音にはとてもよくしてくれた。
 そんな2人を悲しませるようなことを言うことが出来ず、本当のことを言うことが躊躇われ、ずっと我慢してきたのだ。

 結果、両親が海外から戻った時は、母親にすら嫌悪感を抱くほどになっていた。

 突然変わってしまった久音の様子に両親も気付いて問いただしたが、久音はけして本当のことは言わなかった。
 そんな久音を両親はそのまま受け入れたのだ。

 世の中には男と女しかいない。
 男だけの世界にすることは出来ないのだ。
 それを家族のおかげで受け入れることが出来るようになった。
 しかし、女性に対し、嫌悪感しか感じることが出来ない久音は、当然、いままで恋愛の1つもしたことがない。

「女がダメなら男って言うのは安易か?」

 シャワーを浴びながら、久音が苦笑しながらこぼす言葉を、誰も聞かなかったのは幸いと言えただろう・・・・・・・・・。

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