好きだからBLの恋
 ソファに座って雑誌を読んでいた久音もその言葉を聞いて、嫌そうに顔を上げている。

「ええ~ってなんですか」
「だって、いつも食いきれねぇじゃん」
「男の子なんだからそれくらい食べて頂戴。何も言ってくれないくせに文句ばっかりは言うんだから! 男の子はたくさん食べた方がモテるのよ。・・・この間来てくれた子なんて、たくさん食べてくれた上に、美味しいって誉めてくれて本当に可愛いかったわ・・・」

 そう言いながら母親は頬に左手を置いて、うっとりと思い出している。
 そんな母親の様子に、久音は読んでいた雑誌から顔を上げた。

「この間って、あの奏多君って子のこと?」
「そうよ」
「彼、双子だったよ」
「え? 本当?」

 久音の言葉に母親が食いつく。

「先々週ぐらいだったかな? うちに2人とも来たよ。・・・優君って言って、とてもそっくりの双子で驚いたよ」

 久音と母親に、奏多が双子だということは話してはいない。
 なんとなく嫌な予感がしてきた風人は、話をそらそうと話題をひねり出そうとした。
 しかし、寝起きの頭の回転は遅く、すでに手遅れとなっていた。
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