好きだからBLの恋
「今日、呼んで頂戴! お母さん、2人に会いたいわ」
「げっ! い、いきなり訳わかんねぇ事言うなよ。あいつらにも予定ってもんがあるんだぜ?」
「聞くだけ聞いてくれてもいいじゃない」

 もちろん、風人だって2人を呼ぶのが嫌な訳ではない。
 あの大量の料理を片付けてくれるのは奏多ぐらいだろう。

 だが、母親は優子も所望しているのだ。
 しかも久音の休日で家にいる今日。

「でも・・・」
「聞くだけ聞いてみればいいじゃないか。あの料理の配分が少しでも減るなら、お前も助かるだろう?」
「久音。それ、どういう意味なの? ・・・ま、いいわ。風人、早く聞いてみて」
「えー・・・」

 2人に言われ、風人は窮地に立たされてしまう。
 立場的に、家族で一番下の風人に選択権はない。

 しかたなく、電話して2人に説明し、予定があったことにしてもらおうと考えた時だった。

 そんなことを考えていた風人に『ほら』と自分の携帯が差し出された。

「・・・俺の携帯、何で兄貴が持ってんだよ」
「昨日、ここで電池がなくなったって言って、充電しながら電話していただろ。そのまま忘れてる」
「あっ」

 風人は昨日のことを思い出して、うっかりしていた自分の呪いたい気分で落ち込む。

 これで、電話しなければならなくなってしまった。
 つまり、ここで電話をすると言うことは、ある程度会話が筒抜けになってしまうということでもある。
 風人はしぶしぶ携帯を受け取った。

「早く~♪」

 嬉しそうな表情な母親と、久音が静かに自分を見ている。
 風人は祈るような気持ちで、携帯のボタンを押した・・・・・・。
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