好きだからBLの恋
「悪かったな」

 部屋に入ってそうそう、俯き加減で話す風人の言葉に、優子が首をかしげる。

「ん? 何が?」
「突然食いに来いだなんて」
「全然気にするなよ」
「・・・奏多に言ってねぇから」
「・・・・・・」

 優子に謝ろうとしたのに、奏多が会話に入ってきてしまって、一瞬、会話が途切れてしまう。
 しかし、風人は優子の髪のことが酷く気になっていたので、また口を開いた。

「髪、俺のせいなんだろ?」

 小さな声で呟かれた声に、優子は小さく笑う。

「ちよっと違うかな。髪なんて毎日伸びるものだし髪の長さなんて関係ないよ。短くってもピンとか使えばいくらでもオシャレになるしね」
「そうそう。優子はどんな髪型でも可愛いんだぜ。な?」
「ん、ありがと、奏多」

 奏多が自慢げな表情で、優子を後ろから抱き締める。
 じゃれあう2人は、本当に仲のいい双子だ。

 2人が、風人に気づかってくれていることが風人にも伝わる。

「友達なんだから、当然でしょ?」

 友達だから、助けてあげることは何でもない。

 本当は2人がここに来ないという選択もあった。

 しかし、また前のようにレポートをしたりするのに風人の家に来ることもあるかもしれない。
 だったら、出来るだけ強く印象に残しておこうというのが奏多の考えだった。
 もちろん、その考えに優子が賛同したから髪を切ったのだが・・・・・・。

 優子はもともと、髪の長さに拘りはなかった。
 どちらでもかまわないから、短くしたのだ。

 友達の為であり、当然のことだと思っていた。

「・・・そっか、サンキュ」
「うん」

 嬉しそうな3人の笑顔が揃う。

 しかし、その為にことがややこしくなってしまうことを、3人は知らなかった・・・・・・・・・。

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