好きだからBLの恋
 次の土曜日、さっそくどんな感じの庭にしたいのか、風人の家で打ち合わせが行われることになり、母親の希望で、料理に使うものをメインにガーデニングすることに決まった。

 その日、久音が仕事だったので、風人は機嫌よく、話している2人を見ている。
 そんな風人を優子と一緒について来た奏多が一朗と遊びながらこっそり苦笑していた。

 優子が手際良く、庭に植える植物を説明しながら決めていく。
 それも優子が料理に使う植物を調べて、リスト化してきたおかげだ。

「以上23点が現時点で入手出来る植物となります。あとはバランスをみながら手入れのしやすさ、世話のしやすさを考えて・・・。えっと・・・何か?」

 母親の向かいで説明する自分のことを、うっとりと見つめているのを優子は気づいて説明を止めた。

「あら、ごめんなさい。何でもないの。続けて」

 そうは言われても、風人の母親の意味深な笑みに優子は落ち着かない。

「本当に何でもないのよ。ただ、うちは2人とも男っぽいでしょう? 優君が男の子とは思えない程、女の子みたいに可愛いのについ見とれちゃって。ふふふ・・・♪」
「え・・・」

 母親の言葉に、3人の雰囲気が固くなる。

「男には可愛いって誉め言葉じゃありませんよ?」
「そうね。でも優君には十分誉め言葉だと分かるでしょう?」
「・・・それは」
「いいから、さ、続けて?」
「あ、はい・・・」

 なんとも言えない雰囲気に飲み込まれ、優子はそのまま説明を開始した。

 最終的な打ち合わせが決まると、夕食を食べて行くように薦められた。

 今日は午前中に来て、昼食をすでにご馳走になっている。
 2人が遠慮しても、あの母親が2人を手放すはずはない。

 結局説得に負け、2人は夕飯もご馳走になることになった。

 それを聞いて、風人が母親に見えないところで頭を抱えていることに、2人はこっそり両手を合わせる。

 夕食までいたら、久音が帰ってきてしまうのだ。
 すでに優子と奏多は風人の母親のペースに巻き込まれ、逆らえなくなっていた・・・・・・。

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