好きだからBLの恋
 2人が同じ服装をしているせいか、風人の母親、京子は2人を見たとたん目を丸くして飛び上がった。
 もちろんそれは驚いたからではなく、2人が可愛いからだ。

「まあ、まあ、まあ! 本当に2人ともそっくりね! とても二卵性の双子には見えないわ!」
「良く言われます」

 同じように微笑む2人に、京子は喜ぶ。
 その姿は、まるで若い子のアイドルに喜ぶ年配の女性そのものだった。

「今日はゆっくりしていってね? 嬉しいわ~、本当に2人とも可愛いんですもの!」
「はい、ありがとうございます」

 京子の前では奏多も礼儀正しい。
 奏多に言わせると長いものには巻かれろということなのだが、風人にはまったく意味がわからなかった。

 挨拶が済むと、食事が出来るまで3人は予定通りに部屋に引っ込む。
 京子が2人にかまいたくて呼んだのだが、京子は料理で手がはなせないのだ。
 久音はまだ帰宅していないし、平和そのものだった。
 3人で優子と奏多が使う客間の部屋でくつろぐ。
 奏多は持って来た雑誌を開き、優子はさっそく荷物の整理をしている。

 そんな優子を風人は見ていた。

 せっせと整理している優子の様子は普段真面目に研究に打ち込んでいる姿と同じもので、微笑ましさを感じさせる。

「優子、悪かったな、1度だけのつもりがこう何度も変装させて」
「うん? ううん、大丈夫、嘘をついているのは心苦しいけど、服装とかって小さい時と変わらないし」
「変わらない?」
「うん、昔からスカートよりズボンの方が好きだったの。だからいつも奏多と同じ服装ばっかりだったんだよ」
「へー」

 優子の服装はシンプルで清潔そうな感じのものが多い。
 色も青系を好み、あまり女性を意識するような服装は見た事がなかった。

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