好きだからBLの恋
「な、何だあれは!」
「何って?」

 動揺を隠せない風人に奏多が聞き返す。
 客間に戻ってドアを閉めたとたん、風人が開閉一番言ったセリフに2人そろって首をかしげている。

「優子の、し、下着のことだよ!」
「別に普通だろ?」
「ああ、そうさ、普通さ。俺達にはな? けど、優子にはおかしいだろう!」
「優子がトランクスをはいているから?」
「そうだ!」

 先ほど奏多が掴んだせいで、下がったズボンから見えた優子の下着は、風人もはいているトランクスだったのだ。

「買うの恥かしかったけど、ちゃんと新品だよ?」
「そうじゃないだろう!」

 的外れな優子の言葉に、風人の熱が一気に脳天まで沸騰する。

「あ、下にはちゃんと自分の下着をつけてるよ。さすがに直に穿くのだと、どうしても抵抗があったから」
「お前は女だろう! トランクスを穿くこと自体に抵抗はないのか!」
「もちろん抵抗はあるよ。男性用の下着だもん。奏多ので見慣れていても、穿くとなると別だったよ。でも保険をかけておいて良かったでしょ。もし穿いてなかったらバレるところだったんだよ?」
「そ、そりゃそうだけど・・・」

 優子の言葉に、さすがの風人もしりつぼみ気味になってしまう。

 たしかに優子の機転で久音に優子の性別がばれなかったことは事実だ。
 トランクスをはいていなかったら、風人は今頃地獄を見ていただろう。

「だから言っただろ。優子は完璧主義だって」
「だ、だからって・・・」

 奏多の横槍の言葉を聞いて、風人は頭痛がしているような気分になる。
 いくら完璧主義だとしても、トランクスをはくような女性はどこにもいないだろう。

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