好きだからBLの恋
 大学から車で40分ほど走った場所に風人の家がある。
 料理家の母親に、IT関連の会社を経営している父親。
 そのせいか、風人の家はかなりの豪邸だ。

 車をガレージに入れる前に、風人は2人を降ろした。

「わ~大きい家」
「だろ~?」

 3階建ての広そうな家に優子が驚くと、まるで自分の家のように自慢げな奏多。

「風人ん家ってお金持ちなんだね~」
「だよなー、ウチがしょぼく見えるよな?」
「そんなことないよ。小さくても居心地がいいもん」
「あのね、成人した男女の兄弟が一緒の部屋でも、文句が出ないのはウチぐらいだから」
「おいおい・・・お前たち、その年齢で一緒の部屋なのかよ・・・」

 変わった家庭事情に呆れぎみの風人に、その言葉に揃って頷く双子。

 優子と奏多は板の間つき12畳の部屋を、真ん中に衝立とカーテンを引いて半分にして使っている。
 物心ついた時からなのか、2人ともお互いに隠したいような秘密がないせいで、別な部屋が欲しいとは思わないまま今日(こんにち)まで来てしまっていたのだ。

「入れよ」
「「おじゃましまーす」」

 2人そろって声をあげると、風人の後に従って家にあがる。

「今日は誰もいないし、居間でやるか?」
「そうだな。風人の部屋もわりと広くていいけどやっぱ一応、男の部屋だし、今日は優子もいるからな」
「一応って・・・、しかも優子だって男の部屋ぐらい行ったことがあるだろう」

 呆れた表情で風人が奏多を振り返る。

「あんなの友人の延長にある付き合いだ。そんなのは男女の付き合いとは認めん!」
「友人の延長って・・・失礼ね」

 腕を組んで、キッパリ言う奏多に今度は優子がかちんときたらしい。
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