好きだからBLの恋
「だいたいあんな冷めた付き合いで恋人同士なんて笑っちゃうね。男が夜に電話してきて逢いたいって言っても、コイツ、今日はもう眠いから明日ねって・・・あり得ないだろう?」
「奏多っ!」
「しかも、前に別れた理由がバス停でキスしてきたからだぜ?」
「だって、あんな公衆面前でいきなりだよ?」
「あのね。彼女がバスに乗る前にしたちょっとした別れのキスだろ? あんなんでぎゃあぎゃあ言う方が変なの。本当に好きになっちゃったら、些細なことなんだよ」
「違う、私は常識を言っているの」
「恋の前に常識は通用しないんだって言っているの。そんなんだからお前の恋愛は友人の延長だって言ってるんだよ」
「バッカじゃないの。自分だって自慢出来るほどの恋愛なんてしてないくせに偉そうに言わないで」
「優子よりマシな恋愛はしてきてる」
「してない!」
「あ~、もしもし人ン家の廊下で兄弟ケンカしないように、何をしに来たか思い出せ?」

 いきなり白熱しだした兄弟喧嘩に風人が止めに入る。
 ぶすくれた2人を居間に連れて行き、風人は飲み物を作りにキッチンへと向かうが、途中、釘をさす事忘れなかった。

「2人とも、これ以上ケンカで無駄な時間を使うならレポは2人で頑張ってもらうからな」
「わかったよ」
「はーい」

 2人が同じようにふくれていることから、拗ねていることがわかるがそれでも隣同士に座るのを見て、風人も苦笑する。
 喧嘩をしたとしても、なんだかんだと言って、いつもこの2人は一緒にいるのだ。

 優子が恋愛に夢中になれないのは、そばにいる奏多にも原因があるのかもしれない。
 仲の良すぎる兄弟がいるのだから、仲のいい友達以上恋人未満の存在はいらないのだろう。
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