好きだからBLの恋
「つまり男の子の格好をしてお兄さんの目を誤魔化したいってこと?」
「そう!」
「う~ん、レポがあるのに風人が殺されたら困るからいいよ」
「サンキュ~、恩にきる」

 2階に3人で上がり、風人の部屋に入る。

「まずズボンだけど、ウェストが合うわけないからベルト・・・それとシャツは・・・」

 服を出した後、風人は奏多のざっくりとしたセーターを引っ張った。

「このシャツ貸すから、お前のセーターを優子に貸してやってくれ。それとその帽子も」
「何で?」
「俺の服ばかりだと兄貴にバレちゃうだろ。一緒に住んでんだから」
「ちえ、なんだよ~」

 その言葉に、奏多はしぶいぶと言われた通り、セーターを脱いで優子に渡し、風人からシャツを受け取る。
 もちろん、かぶっていたお気に入りのニットの帽子もはずし、それも優子に渡した。

「着替え終わったら居間に戻ってきてくれ。それと今日だけ優子は『優』だ。言葉も奏多の真似をしてくれよ」
「・・・名前と言葉まで・・・わかった」
「奏多、間違えて呼んだりするなよ?・・・でないとレポは落ちる・・・」
「・・・わーったよ」

 2人が下に降りていくと、優子はさっさと着替えだした。

 大きくてだぼっとした風人のカーゴイルズボン。
 奏多のざっくりニットセーター。
 最後にニットの帽子をかぶって髪を隠す。
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