好きだからBLの恋
 着替え終わって部屋にあった等身大の鏡に姿を映せば、さらに奏多に似ている優子がこっちを見ていた。

「ちょっと微妙だけど、男の子に見える・・・か、なあ・・・」

 出来るだけ帽子を深くかぶってみたが、家の中にいるのにファッションとしてかぶっているなら逆におかしいような気がする。
 優子は下に降りて2人の所へと行く。

「ねえ、奏多、メガネ貸して」
「何に使うんだよ」

 優子に言われたものを奏多はカバンから出す。

「メガネをかけるとちょっと顔がわかりにくくなるでしょ?」
「・・・本当だ。しかし、そういう格好をすると本当に2人ともそっくりだな」
「双子だもん」
「優、言葉使い」
「大丈夫、お兄さんが帰宅したらちゃんとするよ」

 大学でモテるので有名な風人の情けない姿に、優子と奏多が顔を合わせる。
 あの恐いもの知らずの風人がこれほど恐れるのだ、優子はほんの少し不安になっていた。

「お兄さん、帰宅したら自分の部屋に行くよね?」
「ああ、出張で疲れているはずだし、すぐに寝るとは思うけどな」
「じゃあ、大丈夫かな?」
「俺の命がかかっているんだ。慎重によろしく頼む!」

 3人が落ち着いてレポートに取り掛かっていると、玄関の音が響く。
 とたんに風人が飛び上がった。

「帰って来た! いいか、名前は優だからな。それと言葉使いには十分注意してくれ、出来れば兄貴がいる時だけは声も低くな?」
「了解」

 ヒソヒソ声で3人で打ち合わせをしていると、居間のドアが開く。

「ただいま」

 風人が怯えるほどの大魔王のご帰宅だった・・・・・・。
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