人生色々。寝子生だって、色々である。
 しかし、我が輩は生まれてこのかた、餌を取った事がない。思いきって外にでたはよいが、腹は空くし、寒いし……何より心細かった。
 娘や母が探しにきたが、やはりなんとなく、帰る気にもなれず。だがやはり、家出から3日目。腹が減って……我が輩を探しにきた母に、顔を見せる。
 ……嬉しかった。本当に……心細かったから……。だから、母が近づいてきても逃げず、家に帰ってやる事にした。




 家に帰ると娘はおらず、だがしかし、暫くして帰ってきた。そこで、散々我が輩に謝ってくれる。

「ごめんね、くぅちゃん。もう、どこにも行かないでね」

 と、泣きながら言ってくれたのが、嬉しかった。それからというもの、我が輩は外にでる事をやめた。
 ……否。我が輩が外にでないようにと、家族が過敏になったといった方が、正しいかもしれない。
 そしてなぜか最近、よく飯が変わる。今までは固いカリカリばかりだった……いや、これはこれで旨いのだが。それが、最近柔らかい"缶詰め"とやらをくれる事がある。
 たまに、"鯛"等も頂くのだが……我が輩としては、人間の飯で特に気にいっているのは"クリーム"と呼ばれる甘いものと"パン"とやらに塗る"マーガリン"だけなので、どうでもよい。
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