Sweet☆LOVE(続編集)


茶色い髪を風で揺らしながら、一樹は私の前を振り返りもせず歩いて行く。

いつもみたいに、腹減った!とか言って笑ってくれればいいのに。



川沿いの空気はすごく気持ちいい。

そんな風を顔に受けて、よくこの道を一樹と二人乗りの自転車で走ってた。

それは一樹と私が付き合ってなくても、一樹に彼女がいても関係なくて。


そういうのって、
けっこう嬉しかったんだよね。



「一樹、昨日はごめんね。私一樹の彼女になれたからって欲張りになってたかもしれない」



やっと私に回ってきた順番。

それなのに、つい他の子との違いを求めちゃってた。



「一樹にしてみれば、今までだって同じように女の子と付き合ってきたんだもん。それを私が彼女になったからって、特別何かを変える必要なんてないのにね」



私は一樹に、
一体どうしてほしかったのかな。

一緒にいるだけじゃ、足りなかったのかな。

イチゴ味のキスだけじゃ、今までの彼女と変わらないから…


それだけじゃ、
我慢できなかったのかな。



「亜希」


「へ?」



私は急に立ち止まった一樹の背中にぶつかりそうになった。

不思議そうに見上げると、一樹の目はまだ不機嫌そうで。



「お前、本気でそんなふうに思ってんの?」


「……一樹?」


「なんか、ショック…」



そう言って曲がった角。
気がつけばもう家は目の前だった。



「ちょっと一樹!」



一樹はそのまま何も言わないで、自分の家の玄関に入って行く。

そして道ばたにポツンと残された私は、何がなんだかわからなくて。



ショックって…

そんな態度見せられたら、私の方がショックだよ。




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