Sweet☆LOVE(続編集)


待っていた時間はあんなに長く感じたのに、それから陽が沈むまでの時間はあっという間だった。


女友達との時間を満喫できたからじゃない。

第一オレが欲しいのは、こんな感覚だけの満足じゃないから。



歩美のことを考えてた。

歩美が今どうしてるかを考えてた。



ホテルを出た時に周りから感じた視線が、すべて非難のように思えて。

やたら目に付くカップルの姿が、うっとうしくて仕方なかった。




「やっぱり今日は恋人と二人で過ごすってのが多いよねぇ。春樹はあたしで良かったわけ?」


「…んだよ、それ」



女友達が指差す先。

人集りにあるカフェの看板にハートのオブジェが見える。



「だって今日バレンタインだもん」


「…………」



ゆっくりと見下ろした笑顔は、当然歩美のものじゃない。

オレは…



「ほらほら〜、ここ最近美味しいって噂のケーキ屋さん。ここの息子ってうちの大学にいるんだよ?あ!ちょうど出てきたし」


「…!」



目が合った男。

口元の絆創膏に目眩がした。



オレは……最低だ。





< 54 / 62 >

この作品をシェア

pagetop