Sweet☆LOVE(続編集)
突き刺すような冬の空気と、白く吐き出される息。
ハァ…ハァ……
必死になって帰ってきた二人のアパート。でも…
「…んでいねぇんだよ」
部屋の中はシンと静まり返って、そこには暗く冷たい空気だけが取り残されていた。
オレは電気も付けないまま床に座り、自分の行動に後悔し続けながら歩美が帰ってくるのを待った。
1時間、2時間…
夜の9時を過ぎても、歩美は帰ってこない。
「あのバカ…すぐ風邪ひくくせに」
ここは元々歩美の部屋。
歩美にはここしか、帰ってくる場所なんて無かった。
歩美はいないけど、歩美の香りがそこら中に残ってる室内。
香りだけじゃない。
温もりと存在。強がりと優しさが混ざった、オレを惹き寄せて離さない性格だって。
ここには歩美が溢れてた。
「何やってんだ、歩美……」
落ち着ける場所なのに、なぜか歩美がいないと居心地が悪い。
こんなに広かったのか…この部屋。
オレは辺りを見渡した。
……?
暗い部屋の中で、壁に貼ってある大きなカレンダーだけが白く浮かび上がってる。
いつも歩美が、記念日に印を付けてるカレンダー。
もしかして……