Sweet☆LOVE(続編集)



突き刺すような冬の空気と、白く吐き出される息。



ハァ…ハァ……



必死になって帰ってきた二人のアパート。でも…



「…んでいねぇんだよ」



部屋の中はシンと静まり返って、そこには暗く冷たい空気だけが取り残されていた。

オレは電気も付けないまま床に座り、自分の行動に後悔し続けながら歩美が帰ってくるのを待った。




1時間、2時間…

夜の9時を過ぎても、歩美は帰ってこない。



「あのバカ…すぐ風邪ひくくせに」



ここは元々歩美の部屋。

歩美にはここしか、帰ってくる場所なんて無かった。



歩美はいないけど、歩美の香りがそこら中に残ってる室内。

香りだけじゃない。

温もりと存在。強がりと優しさが混ざった、オレを惹き寄せて離さない性格だって。


ここには歩美が溢れてた。



「何やってんだ、歩美……」



落ち着ける場所なのに、なぜか歩美がいないと居心地が悪い。

こんなに広かったのか…この部屋。



オレは辺りを見渡した。





……?


暗い部屋の中で、壁に貼ってある大きなカレンダーだけが白く浮かび上がってる。

いつも歩美が、記念日に印を付けてるカレンダー。


もしかして……





< 56 / 62 >

この作品をシェア

pagetop