Sweet☆LOVE(続編集)
今年のバレンタインデーは土曜日だから、陽サマの大学も講義はお休み。
他の生徒の家庭教師だって、予定には入っていないはず。
お泊まりは残念ながら了解してもらえなかったけど、それでも私だって、何かいつもとは違う特別な日を送りたいと思ってた。
駅前の商店街をぶらぶら歩けば、見ようとしてるわけでもないのに赤や金色の壁紙が目に入ってくる。
私にとって陽サマは初めての彼氏だから、チョコレートを作るなんてこともまだ経験がない。
「作れるかなぁ…。っていっても、ただ溶かして固めるだけだよね」
お父さんには市販のものを買ってただけ。
でもやっぱり彼氏なら手作り!
…って感じなんでしょ?
ラッピングコーナーに立ち止まり、型やら飾りやらを手に取って眺める。
これがまた
なんだかすごく照れくさい。
こんなところで真剣に選んでると、まるで私は好きな人に今年チョコレートを作るんですよ!とか宣言してるみたいで(その通りなんだけど)
誰が見てるわけでもないのに、変にドキドキして緊張した。
陽サマは
何色が好きなんだろう…
「あーっ!由利じゃーん!」
ドキーーン!
持っていたハートの箱を背に隠し、慌てて振り向けばそこにはハイテンションの香奈。
何やら手には、真っ赤な布切れを持っている。