Sweet☆LOVE(続編集)
そしてバレンタインデー前日。
「さよなら清純な私!」と叫ぶ香奈から少し離れて歩く帰り道。
私は携帯のディスプレイに陽サマの番号を表示しながらも、なかなか誘う言葉が決まらなくて。
何度もため息をつきながら、一人ブツブツうじうじを繰り返していた。
「一日中一緒にいたいなら家に呼べばぁ〜?」
「カテキョがない時はいつも外で会ってるの!急に家に呼んだらおかしいよ」
「そう?由利もやる気だな!とか思って喜ばれるかも」
そんなこと…
できれば思われたくないってば。
結局家に帰ってからも、チョコレートを溶かしながらぼんやりと考える。
急いで前に進みたいわけじゃない。でも、やっぱり不安になるんだ。
子供なままの自分。
陽サマばかりが、ずっと大人で。
特別なバレンタインを願うけど、本当は陽サマにとっても特別であってほしいと思ってた。
記念日としてだけじゃなくて、私という存在も。
一番の特別だって
思ってほしいんだよ。
「…もしもし、先生?」
「当然です。この電話には僕しか出ません」
「そんなことわかってます!」
私だけじゃないよね、
こんなに一生懸命なのは。
「先生は甘いの好き?」
「苦手ですね」
ただ隣にいるだけで、ドキドキして舞い上がって。
ただ声を聞くだけで、壊れそうなくらい切なくなって。
「……でも由利さんが作るなら、そんなこと関係ないですけど」