コンビニの田中さん
田中さんはプリンが大好きだ。
田中さんは雑誌を読み終えると、だいたいいつも僕がいるレジにやってくる。
田中さんはお金を持っていない。
だから、僕は賞味期限が今しがた切れたばかりのプリンをとっておいて、田中さんに差し出す。
田中さんは歓んで、自分の体の半分くらいの大きさのプラスチックのスプーンで、プリンをすくって食べる。
その食べ方はすごい。世界中探しても、田中さんくらいおいしそうにプリンを食べる人はいないと思う。
田中さんはお腹いっぱいプリンを食べると、僕の方を見上げ、
『キィー』
と言う。
口の周りにはプリンがいっぱいついていた。