最カノ・アスカ様。
〔ナレーターSIDE〕



ユウイチが飛行機の中で楽しく団らんしていた頃、アスカ様はというと──





……──ザザンッザザザザザンッ……


身体中に打ち付けられる潮風と波しぶき。

腕を組み、あぐらをかいたアスカ様は、水面を高速で進んでゆく。

上空に伸びたおさげの先には…………飛行機。

おさげを飛行機の両ハネにグルグル巻きにしているため、何もしなくても進む。


そう、アスカ様は、ユウイチの修学旅行に同伴していたのだ。

こっそりと、大胆に……。


寂しがり屋のアスカ様には、ユウイチのいない生活なんて耐えられなかった。


遠くからでいいからユウイチを眺めていたかったのだ。


しかし金銭的に問題があったため、このような交通手段になってしまった。


季節は2月。
海の上はかなり寒い。


それでもアスカ様は、勇ましく耐えぬいたのだった……。
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