最カノ・アスカ様。
「おっ!望遠鏡あんぜ!」


その頃タワー内は、自由行動になっていた。


ヒロが食い入るように望遠鏡を覗き、セイヤは夜景を写真に収めている。

ユウイチは夜景を眺め、その美しさに感動していた。


「都会ってすげぇな……」


生粋の田舎っ子ユウイチがそう呟いた瞬間。


ギュンッと、何かがガラス越しに目の前を横切った。

弧を描くように、現れてすぐ消えたそれ。


一瞬の出来事でよく見えなかったが、ユウイチの目には人のように見えた。


「……なぁ、今なんか横切んなかった?」

「え?フィルム巻いてたから見てねぇわ」

「わっかんねー。てかこの望遠鏡、ピント合わねぇよ〜」


ユウイチは首を傾げるしかなかった。




「……ふぅ、あぶなかったユッチに見つかるとこだったしィ」


アスカ様はガラスに貼りついたまま、安堵の息をついた。

モワンとガラスが白くなる。


ユウイチが目撃した影の正体、あれは、アスカ様だった。


ちょっと手が滑ってしまったのだ。
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