最カノ・アスカ様。
ヒロが部屋から出ていって、数分後。

コンコン、とノックされたドア。


ヒロだろうと思って鍵を開けるとそこには──


……アスカがいた。


「ユッチ」

「………………」


目を擦る。


「ユッチ、会いたかった」

「………………」


ドアを引く。

と、

──ガシィッ!!


「ユッチ、閉めないでよォ」


ゴツゴツした手がそれを阻止した。

……ですよね〜。


「なんでいんだよ!?」

「イヒッユッチに会いたくて、着いてきちゃったァ」

「ハァ!?」


ストーカー!?
こわっ!!


「帰れっ」


強引にドアを閉めた。


オートロックがかかったにも関わらず、おれはずっとドアを押さえてた。


…………。

…………。

……シーン……。


ドアの外は静か。

それがまた恐ろしい。


暴れる心臓を抑え、おれはそっと覗き穴に目を近づけた。
< 110 / 119 >

この作品をシェア

pagetop