最カノ・アスカ様。
──キコキコキコキコ……。


愛用のチャリを漕ぎながら、颯爽と風を切る。


そして日課のメールチェック。


こんなん言わなくてもすでにみんな気づいてると思うが、おれはチャリの運転マナーがかなり悪い。

果てしなく悪い。


実際、事故りそうになったことが何度もある。


でも全部おれが被害者で、加害者になったことはねぇんだ。

なにげすごくね?


だから、信用してくれ。

……ん?違うか?


【ユウくーん。今日告られたってホントなん?―アサミ―】

【おーい、ユウイチ。起きてるか?―マリコ―】

【ユウ元気〜?―エリ―】

【電話したいよぉ……。―シオリ―】


──女ばっか。


面倒くせ。

つまんねぇ。



オレはそのままケータイを閉じて、ボタン全開の学ランの胸ポケットに突っ込んだ。


が、数秒後に再びケータイを取り出すと、ボタンを操作し始める。


「メール新規作成っと……」


誰にも返信しないまま、選んだ宛先は──“アスカ”。
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