最カノ・アスカ様。
「…………ユッチ……なの……?」


『ユッチ』


おれをこう呼ぶのは、一人だけ。


メールでしか呼ばれたことのないあだ名。


たまにヒロ達がからかって呼んでくることはあるが。


でもなんでコイツが、このあだ名を……?


「お前……誰?」


ドクドクと暴れだす心臓。


まさかコイツ、“秘密の遊び”を知ってんのか……?


右側に座るコイツの顔が見たいと、強く思った。


すると。


白い布の端からちらついた、黒い頭。


それは徐々に上にあがってきて……


数秒後、目の前の光景に、おれは言葉を失った。


あまりにも衝撃的すぎたんだ。


「ウチが誰か、わかんないの……?」


いや、こんな知り合いいません。


これは、人間なのか?


椅子から立ち上がりジィッとおれを見つめてる、生き物。


「あれ?知り合いかい?」


医者の能天気な質問に答える者はいなかった。
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