最カノ・アスカ様。
「ユウイチくん……あの……」


いたのは、こないだおれに告ってきた子だった。


えっと確か……

“アヤ”だっけか。


「何?」


無表情のまま、力なく呟くおれ。


それを面倒くさがってると勘違いしたのか、アヤは一瞬悲しそうな顔をした。


「あ……ごめんね、いきなり……」

「いーよ。で、何?」


悪りぃな。

今は、愛想よくする余裕がねぇや。


すぐ傍の公園で、もうすでに奴が待っているかもしれないのだ……。


「あの、聞きたいことがあって……」


染み一つない白い肌の上で僅かに揺れる、艶々した黒い髪と大きな丸い瞳。


決して派手なタイプじゃないけど、子猫みたいにフワフワしてて……。


あぁ、彼女にするなら、こういう子の方がよかった……。


あの時アヤの告白を断ってなかったら、おれの未来は変わっていたかもしれないんだ。


「なんで断っちまったんだよ、おれのバカ……」

「え?」

「あ、いや……聞きたいことって何?」
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