最カノ・アスカ様。
「あ?あぁ……確かに寒みぃな」

「うんねェ、ユッチのポケットに手ェ入れてもいい?」

「えッ──」


ズボッ!!ビリッ。


「あったかぁい」


おれが返事をする前に、学ランの左ポケットに硬い拳が突っ込まれた。


「……お、おい!今なんか『ビリッ』て……!」

「ん聞こえなかったァ」


嘘つけ!!


絶対ポケット破れてっだろ!!


お前の手は凶器か!!


「ねェ、ユッチも、ポケットに手ェ入れてよォもっと温かくなるよ」

「ヤダ」

「えぇユッチひどぉい噛み付くZO」

「かっ、かみ……!?」


それは冗談!?本気!?


どっちにしろ、その脅しはおれを十分に震え上がらせた。


「わかった……」

「やったァやっぱり、ユッチは優しいねッ」


泣いてもいいですか。
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