最カノ・アスカ様。
ネーミングセンス0のヒロの台詞で、おれは気付いた。


「そういや……明日はバレンタインか」


すっかり忘れてた。


『はいぃ!?』とかなり驚いている様子のヒロ。


「ユッチってば信じらんない……」

「だからユッチって呼ぶなっつってんだろがクソ猿」

「ひぃ」


……にしても。


この“バレンタイン・パニック”、女の子はすげぇ困るだろーな。


チョコ作れねぇじゃん?


犯人も性格悪りぃなぁ。


「おれの推理によると〜、『毎年バレンタインにチョコを貰えなかった男が腹いせに行った犯行』と思われる!」

「じゃあ犯人はお前だな」

「ウザッ!」


Sだな、セイヤ。


だがそんなS発言も、ヒロには通用しない。


「いいもんね、おれは。サキにだけ貰えれば幸せだし〜」


これぞ“彼女持ちの強み”というのか……。


「ユウも彼女持ちじゃん」

「え?」


何コイツ。

もしかして今、おれの心読んだ?


「保育園からの付き合いだべ?考えてることくらいわかるって」

「じゃあアスカのことも信じてく……」

「信じてる信じてる。で、昨日はどうだったのよ?もうチューした?」
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