最カノ・アスカ様。
「ハッ!この声は……!!」

声は次第に、近く、大きくなってゆく。


──シュタッ。


窓の外から、華麗に部屋の中へ現れたのは──


……おれの彼女でした。


やっぱり……。


てかコイツ、おれやベッドに巻き付いて、自分の体を二階のこの部屋まで引き上げたぞ?


アスカに不可能はないのか……?


「ウフッユッチお届けに、来たたたたたァ」


『た』多っ!


とまぁ、そんなツッコミは置いといて……


「とりあえず、解いてください」

「あッごめぇん」


シュルルルル……。


その光景……ムービー撮らしてくんねぇかな。


おさげを短くしていくアスカを見てそんなことを考える。


「で……渡したいものって、何?」

「アハッ下に置いてあるよォちょっと、待っててね」

「下に……?」


おれが話し終える前に、アスカは再びおさげを窓の外に伸ばした。


あぁ、どうか……この奇妙な光景を近所の人が目撃していませんように。
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