最カノ・アスカ様。
「くっ!!」


ブチブチブチブチブチッ!!


ユウイチが狂ったように電源ボタンを連打すると、ようやく声は途絶えた。


暫くし、冷静を取り戻した頭でユウイチは理解する。


アスカ様が、勝手にアラーム音を変更していたのだ。

録音しておいた自分の声に……。


「なんて悪趣味な奴なんだ……」


その後、ユウイチの手によりアラーム音は元に戻され、再び朝に平和が戻った。

……ように思えた、が。


モーニング恐怖はまだ続くのだった……。





〜家族不在3日目・火曜日〜


AM7:25。


起床5分前。


ユウイチは眠っていた。

悪夢にうなされながら。


その時、鍵をかけていたはずの窓がゆっくりと開かれた。


柔らかな風が部屋に流れ込んできたのもつかの間、すぐに隔た(へだた)れてしまった。

大きなシルエットによって。


「ウフフフフフフフフフ……よく寝てる」


シルエット……アスカ様は、窓を閉め直しユウイチの傍に近寄った。


アラーム音が元に戻されたことを知った彼女は、ユウイチを直接起こしにやって来たのだ。


彼女はまだ気付いていない。

窓から勝手にお邪魔する行為が“不法侵入罪”だということに……。

きっとこれからも、やめることはないだろう。


アスカ様はさっそく、ユウイチを起こしにかかる。
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