最カノ・アスカ様。
「ふぅ……やっぱ海は、最高ねェ」


アスカ様はコバルトブルーの水面から大空へと、勢いよく顔を振り上げた。

キラキラと辺り一面に飛び散る水滴。


なんて美しい光景……と酔い痴れるアスカ様。


「なんでこんなに綺麗なトコなのに、人が一人もいないんだろォ?」


疑問に思いながらふと砂浜に目線を移すと、


「……遠ッ」


随分と遠くまで来てしまっていたことに気付いた。


豆粒くらいの大きさのユウイチが砂浜に座っているのが、なんとか確認できる。


「一回戻ろ〜」


アスカ様がバタフライをしようと両手を振り上げ、構えた……その時。


彼女はハッとした。


「ビ、ビキニが…………ない」


今日のために(ユウイチのために)購入した赤いビキニ。


それが凄まじい水力とアスカ様の体型に耐えきれず、流されてしまっていたのだ。


「…………下も、ない」


あろうことか、上下どちらも不在。


アスカ様は焦った。

このままでは、陸に上がれない……!!
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