最カノ・アスカ様。
「……ん?なんだ、あれ」


砂浜に座って海を眺めていたユウイチは、波打ち際で揺らめくものの存在に気が付いた。


立ち上がり、波打ち際に近寄ってみると……


「ゲッ」


ボロ雑巾のような赤いビキニ(だったもの)が、ユラユラと揺れていた。

上下セットで。


「これ……アスカのじゃねぇか?」


ユウイチは顔をしかめ、海の沖へと目を向けた。

アスカ様の姿を確認するため。


「ユ、ユッチィ」


アスカ様は先程よりも距離を縮め、水面から顔だけを出し、ユウイチを見つめていた。

ユウイチとの距離は……ざっと10m。


アスカ様の様子から、これが彼女のものだと核心したユウイチは……

……気付かないフリを決め込んだ。


「ユッチねぇ、ユッチってば」


波打ち際から離れていくユッチの背中に、アスカ様は溜息をつく。


「気付かないかァ……どうしよ」


いくらアスカ様といえど、恥じらい深き乙女。


大好きな彼氏に、全裸姿など見られたくないのだ。
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