最カノ・アスカ様。
そのまま順調にアスカと家路を歩いていると、突如鼻のてっぺんに小さな刺激が降ってきた。


「……げ、雨じゃん」


空一面にどんよりとした雲が広がっている。


雨はリアルタイムで激しくなっていく。


「あ、折り畳み傘あるんだった」


おれってばなんて出来る子…………はッ!


「ユッチ、偉ァい」


そうだ……コイツが……コイツがいるんだった。


つ・ま・り。


「相合傘だね」

「ア……アスカ、1人で使っていいぞ」

「ダメだよォ2人で使お」


ヴッ……

こうしている間にも、雨は強くなっていく。


おれは渋々、傘を開いて傘を持った方の腕を真横に伸ばした。

ピンと真っ直ぐに。


おれ、腕しか傘に入ってないし……。


アスカも一応傘の端に寄ってはいるんだけど、肩幅が広すぎて、おれが入るスペースは全然ない。


そしておれはずぶ濡れ……。

アスカは反対側の肩から下がずぶ濡れ。


悲しい現実。

チーン……。


「……アスカ、お前も普段から折り畳み傘持っとけよ?」

「えぇ……ユッチ、相合傘キライ?」

「…………」


あれは相合傘じゃないだろ。
< 91 / 119 >

この作品をシェア

pagetop