最カノ・アスカ様。
「おれ行ってくる!」


クラスメイトの1人が懐中電灯を片手に、ブレーカーを戻しに走った。


まだ慣れない暗闇の中、ザワザワと話し声が聞こえてくる。


「ブレーカーが落ちるなんて、普通ある?」

「おかしいよねー……」

「けど準備中でよかったね!」

「誰かが落としたんじゃねぇの?ブレーカー」


……なぜかおれは、嫌な予感がした。

別に暗闇が怖いわけじゃないのに、胸騒ぎが治まらない。


なんだ?これ……。


暫くして、おれの不安を取り除くかのように電気がついた。


「よっしゃ!劇再開すんべ!」


ヒロの合図と共に、幕が開かれる。


さっきまでの胸騒ぎが消え去るくらいの緊張が、一気に襲ってきた。


「王子、頑張れジャガ!」

「……バカ。……おう」


おれは段ボールで作られた白馬を片手に、ステージへと歩みを進めた。
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