キミ色に染まりたい


「寒いし中入りますか?」

「うん…」


私たちは中に入った


無言でいつもの場所まで行った


トイレの前の床に座ると私は顔を隠すためにコートを被った


――…キスってこんな感じなんだぁ

唇をなぞってみる


かぁっと体の奥が熱くなってくるのを感じた


「先輩っ」

矢田がコートをパッととってきた


「なに?」

「初めてのキスどうでした?」

「えっ…ヤバかった」


恥ずかしくて顔を隠した

矢田は後輩なのに冷静で私は子供だなって感じた

「初キスの相手、俺なんかでホントに良かったんすか?」


「………当たり前でしょ」

「先輩…ありがと…俺も初キスの相手先輩で良かったです……」


「ばっ…ばかじゃない?」

さらっと女の子が喜ぶことを言うから…


私はいつもドキドキされてばっかだった
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