Time Lag
「千秋!」
僕は太陽に向かって手をかざした。
大好きな君に届くように、精一杯。
「僕は千秋が世界で一番好きだ!」
届け。
届け。
僕の君への想い。
例え僕と君の間に時間差が生まれたとしても、そんなことは僕にとって関係ない。
僕は君のことが好きだからその時間差さえも愛しく感じてしまう。
千秋。
僕は君の笑った顔が見られるだけで
それだけで最高に幸せなんだ。
「手話って知ってる?」
「テレビドラマで見たことあるぐらいかな」
「じゃあこれはどういう意味か分かる?」
「愛してる、だったような」
「当たり。でもこれはアメリカの手話で、ほんとは"I LOVE YOU"っていう意味なんだ。
I・L・O・V・E・Y・O・U。
それぞれの指文字がぜーんぶこの手に現れているの。
英語と同じでこの手話は万国共通なんだよ」
柔らかい春の風が優しく包む。
彼女が、笑った。
完