マイダーリンは魔王様！？

「挨拶は今さっきしたでしょ。懲りずに、何で毎日キミは僕に突進してくるかな。」


「突進じゃなくて、抱きつこうと思ったんですよぉ。」


ニコニコヘラヘラと、何もかも赦すような甘い笑顔が嫌いだ。恭子はクルリと踵を返して‥月人を置いて行こうとした。


「置いて行かないで下さいよ、恭子さんっ！」


いつの間に起き上がったのだろう、月人は瞬間移動をしたかのように‥恭子の腕に抱きついてきた。恭子は内心、それに驚きながらも‥ポーカーフェイスを崩さない。仲の良いカップルに見えなくはないが、身長差があるので‥姉弟に見えてしまう。

振りほどいても、しつこく腕にしがみついてくるのは経験済みなので‥恭子はウンザリするかのように、肩を落とした。