マイダーリンは魔王様!?
黒髪はオールバック、結構強面で‥逞しい体をしている。キッチリ着ているスーツが彼の几帳面な性格を表しており、拳を床について‥恭子に深々と頭を下げる姿は《付き人の鏡》と呼ぶに相応しい。


「お嬢様のリボンでしたら、此方に。」


キッチリ、アイロンまで掛けられたリボンを恭子は受け取り‥胸元で結ぶ。基本的、恭子は他人にも自身にも無関心で‥大抵無口、無表情が多い。やはり、草薙に愛想笑いもせずに‥スタスタと横を通り過ぎる。


「よく取れたね、リボンの返り血。昨夜は少し暴れすぎたから‥取れないかと思ったよ。」


「お兄様も暴れん坊でしたから‥この程度なら大丈夫です。」

恭子の背を追うように、草薙は恭子の後ろを静かに歩く。広大な日本庭園の庭は広く‥倉が七つほどある、この屋敷は随分な広さと大きさをしている。咲き始めた桜や大きな池で跳ねる錦鯉を横目で見つめて、恭子は黙々と長い廊下を歩いた。
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