マイダーリンは魔王様!?
「兄様は?」


「もうお待ちですよ、昨夜は帰りが遅い恭子お嬢様を‥随分と御心配なされていました。」


「‥‥そう。」


とある一室の襖を開けると、1人の美青年が恭子を待っていた。


恭子と全く同じ黒髪だが、此方は少し長いので‥結ってある。恭子同様、アジアンビューティーな顔つきに切れ長の紫色の両目。着ているのは漆黒の着流しで、長身で痩せ気味だ。無駄な肉を全く付けていない彼は、年齢は二十歳前後。


恭子の顔を見ると、不敵な笑みを浮かべた。


「遅かったね、寝坊かい?」


低い、艶のある声をした彼こそ恭子の実兄‥そして永い伝統と歴史を持つ秧鶏家当主『秧鶏 恭水』である。
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