あなたの笑顔
 それなのに。
なぜ、こんなに
心が通じないのだろう。

 仕事から戻り、
着替える時間も惜しみ
台所に立った。

 夫の好きな、
“鶏のから揚げ”。
しょうが汁をたっぷりかけて、
下味をつけて、粉をまぶし、
油の温度に気を使って、
揚げた。

 「なんだよこれ。」

そんな一言。
何が悪かったのか分からない。

 「こんなんだったら、
 お袋の所で、食ってくれば良かった。」

 「すみません・・・。
 コロッケにしますから。」

 「どうせ、冷凍だろ。」

 

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