恋愛テスト

「ああ、これ?
 この前母にもらったんだよ。
 私は持ち物に関して全くと言っていいほど気にしていないからね。
 遠慮なく使わせてもらっているんだ」

そう言いながら、有里がポケットから明るいピンクに白のドットが散った小銭入れを取り出して見せた。

「お前には似合うからいいんじゃないのか?」

「本気で言ってないだろ。
 似合うというなら、さっき『意外』なんて言葉を使う必要もなかったはずじゃないか?」

「じゃあ、訂正しよう。
 お前の性格にはあまりそぐわないが、外見にはよく似合ってる」

「それはそれで複雑だなぁ」

不満そうに呟く有里と言うのも珍しいものに思え、俺が思わず声を立てて笑うと、有里は軽く眉をしかめて、

「笑うんじゃないよ」

「ああ、すまん。
 …なんだか、楽しくなってきたんだ」

「それは何よりだね。
 せっかく付き合ってるんだし」

「だな」
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