恋愛テスト
100円弱の幸福
俺と有里みたいなやつのことだ。

付き合い始めたからと言って、そのままでは何も変わらないだろうと思っていた。

「それじゃつまらないだろう?」

付き合い始めたばかりの相方は、何が楽しいと感じているとも思えないってのに、えらく面白そうに笑ってそう言った。

笑顔はいつも通りと言えばいつも通りだ。

しかし、どこか違っていて、変な気がした。

違和感とでも言えばいいんだろうか。

俺がそんなものを感じていると分かってはいるんだろうが気にもせず、有里は言った。

「せっかくだからデートとやらをしてみようじゃないか」

「デート…ね」

思わず思い描いたのは典型的デートコースだ。

映画とかお茶とか食事とかな。

もちろん奢らなければならなくなるんだろう。

それは少しばかり面白くないような気がしたものの、必要な支出であるようにも思えるので、そこでケチるような情けない真似はするまい。

となると問題は俺の財力だが、よほど贅沢しなければ大丈夫だろうと見切りをつけた。
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