恋愛テスト

「考え事は終わったのかな?」

じっと横から見てたんだろうか。

くすくす笑いながら有里にそう言われ、顔が赤くなった。

「見てたのか」

「見えたんだよ。
 百面相してたね。
 見てて少しも退屈しなかったよ」

ほっとけ。

「さあ、そろそろ行こう。
 早くしないと門限が来てしまうよ」

そう言って先に立って歩き出した有里を追い掛け、横に並んだ。

「門限なんてものがあるのか」

「一応だけどね。
 守らなくったってそう怒られもしないだろうとも思うし…」

「それでも生真面目に守るのがお前らしいよな」

俺が言うと、有里は何やら意外そうに眉を上げた後、

「誉められたのかな、今のは。
 それともからかわれてる?」

「誉めたつもりだ。
 つうか、俺がお前をからかえると思うのか?」

「私はそんなに絡みづらいかな」

そういうことじゃないだろ。

「お前は俺なんかにからかえるほど分かりやすくもないし簡単でもないだろ」

むしろ俺の方が手玉に取られるに決まっている。
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