恋愛テスト

そう上目遣いに言われて、俺がそれ以上強く出られるわけもなく、唸っている間にコンビニへと連れて行かれた。

だが、だからと言って俺が恥かしげもなくものを買ってもらうはずもなく、あまりに急かされた末に渋々選んだのは、穴の空いていない白銅貨一枚で買えてしまうような、小さな駄菓子だった。

「本当に君は謙虚だね」

そう言って有里は面白そうに笑ったが、俺としては面白くない。

その笑みも言葉も、俺に呆れ、俺を笑っているものに違いないと分かっているからだ。

「単純に、人に奢られ慣れてないだけだ」

「そう不貞腐れなくていいよ」

「じゃあからかうな」

「からかっているようなつもりもないんだけど」

そのくせ、クックッと楽しげに喉を鳴らしている有里は、本当にいい性格をしている。

俺は諦めと共にため息を吐き出すのみだ。

「でも、楽しくもない?」

「いや……」

これはこれで楽しいと思ってはいる。

何せ、これまで有里と一緒に帰ったことすら一度もなかったのだから、こうしているだけでも細々とした発見がある。

「発見なんて言われるほど大したことがあるかな」

「たとえば…そうだな。
 お前が意外と可愛い小銭入れを使っていることとか」
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