不登校｡

｢４｣おじいちゃん

[４]おじいちゃん


中学２年､秋―

病気で入院していた､父方のおじいちゃんが死んだ｡

｢危篤状態だから早く病院へ来て｣と父親から電話が入り､家族揃って病院に向かった｡

おじいちゃんとおばあちゃんは誰よりも好き｡

父方の親戚はもう集まっていた｡

おじいちゃんのベッドは病室ではなく､ナースステーションのすぐ隣にあった｡

まるで､息を引き取った時にすぐわかるように｡

心電図の中の線が動いている

｢里緒菜ちゃん､側に行きなさい｣
声をかけてくれたのはおじいちゃんの娘さん｡

おじいちゃんの手を握る｡

あったかい

｢昨日もヨーグルトとバナナ食べたんだよ｡｣

そう教えてくれたおばあちゃんの頬には泣いた後がある｡

｢ついさっきまで､名前よぶと頷いてたんだけど…―｣


『…おじいちゃん｡』

小さく､呼んだ｡

聞こえていたかはわからない｡

うっすらと上を向く､おじいちゃんの目をずっと見つめていた｡

それから名前を呼ぶ様に言われたけど､私は呼べなかった｡

１回､呼んだから…｡

それで十分だった｡


２０分くらい居て､帰る事になる｡
車の中で､『ここにいたい｡』と母に言った｡

｢あんたがここにいて何が出来るの｡｣そう言うと車を進めた｡


私は分かっていた

もう生きたおじいちゃんに会えない事を…｡


家に着いて､２０分くらいテレビを見ていた｡

電話が鳴った｡

父からだ｡

まさか…

おじいちゃん､死なないよね？

嘘だよね…―？


お母さんは言った｡

｢ついさっき亡くなったって｡｣


私は机の前で泣いた｡

携帯を見ると､２回､父から着信があった

マナーモードにしてたから気付かなかったんだ…｡


私たちが家に帰ったのを確認して､息を引き取ったように思う｡


おじいちゃん､ありがとうね…―｡

理解者が居なくなって寂しかった｡