恋人未満

それから今度は台所に行く。

昨日セットしておいた炊飯器がちゃんとご飯を炊き上げているのを確かめてたら、調理開始だ。

面倒だから、今から作るのは玉子焼きとお味噌汁だけ。

後は冷蔵庫の中に入れてある大根の漬物と、昨日の残りのおひたし、それから切って薬味を乗せるだけの冷奴で十分だろう。

それで一応、一汁三菜整うし。

手早く玉子を焼いて、わかめと豆腐しか入ってない手抜きの味噌汁を作る。

そうしてやっと完成したら、冷めないうちに新を叩き起こさなきゃならない。

だけど、正直これが一番めんどくさい。

あたしは台所の中を見回して、空になったスポーツドリンクのペットボトルを見つけるとそれを拾い上げた。

それを手に、二階に上がる。

階段を上がってすぐの部屋が、新の部屋だ。

鍵も何もないドアを開けて、

「そろそろ起きなさい!
 朝ごはん出来たから」

と怒鳴ってやっても、新はぴくりともしない。

死んでるのかと疑いたくなるような眠り込みっぷりだ。

あたしはため息を吐いて、

「起きろっつうの」

「ぅ……んん……」

返事をしたのかと思ったら呻いただけだった。

< 12 / 16 >

この作品をシェア

pagetop