恋人未満

仕方ない。

いつものこととはいえ、本当にこれでいいのかと思いつつ、あたしは手に持っていたペットボトルを振り上げた。

2リットルサイズのペットボトルが新の頭に当たり、ぽっかんと間の抜けた音を立てる。

…もう少し力を込めてもよかったかな。

それでも一応、新の眠りを妨げる役には立ったらしい。

薄く目を開けた新があたしを見る。

まだ半分以上寝てるような感じだけど、まだいい方だわ。

「起きた?
 起きたんなら、とっととベッドから出なさいよ。
 んで、顔洗って目を覚ましてきて、一緒に朝ご飯食べよ」

「……」

黙ったまま、新が目を閉じようとしたので、あたしはもう一度新を殴る。

「起きろっつってんだからさっさと起きろ!」

「…痛い」

嘘吐け。

ペットボトルで痛いもんか。

難なら今度は定番アイテムのお玉かフライパンで叩いてやる。

ねぎは食べ物だから却下で。

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