風になったアナタへ
1996年・秋 (リンとの別れまで残り約1年10ヶ月)
~リンと笑い転げた日~
ある日、私は、リンに紹介したい友人がいると言われ、リコーズというバーで待ち合わせをした。
週末になると、そのバーは学生で溢れ、陽気なジャズの生演奏が入る。そこは、いつ行っても騒がしく、すぐ隣にいる人間と怒鳴り合わなければ話なんて出来やしない。日本のように、おつまみなんて物はなく、そこでの唯一のつまみは、塩がかかっただけのポップコーンのみ。
ビール1杯を飲むのが精一杯の私には、気心が知れている人間と行くほかは、かなりしんどい場所だった。つまり、私にとって、リコーズという場所は初対面の人間と会う場所ではない。私は気分良く酔っぱらってしまえるわけでもなければ、初対面の人間の耳元で、くだらない話を怒鳴り合うことを楽しめる人間ではないからだ。
週末になると、そのバーは学生で溢れ、陽気なジャズの生演奏が入る。そこは、いつ行っても騒がしく、すぐ隣にいる人間と怒鳴り合わなければ話なんて出来やしない。日本のように、おつまみなんて物はなく、そこでの唯一のつまみは、塩がかかっただけのポップコーンのみ。
ビール1杯を飲むのが精一杯の私には、気心が知れている人間と行くほかは、かなりしんどい場所だった。つまり、私にとって、リコーズという場所は初対面の人間と会う場所ではない。私は気分良く酔っぱらってしまえるわけでもなければ、初対面の人間の耳元で、くだらない話を怒鳴り合うことを楽しめる人間ではないからだ。