風になったアナタへ
最悪だ。会ったばかりの酒臭い男に耳元でそんなことを言われて、しらふの私は一気に気分が滅入った。聞こえないふりをして煙草に火を点けると、リンは私の憂鬱を察してか、ジョーを押しのけ素早く私の隣に座り、別の飲み屋に移ろうと言った。そして、ジョーっておもしろくていい人だから、と言って私にウインクをした。私が、すがるような目でリンに帰りたいと伝えると、もう一軒だけと言って、彼女もすがるような目をした。次の店へ徒歩で移動する間、私の隣を歩くリンは、
「ジョーはあなたのこと気に入ったみたいよ」
と何度も言って、私をからかった。
「リン! 私は、もうジョーの隣には座りたくない。次の店では、リンの隣にしか座らない」
と囁くように言うと、リンは振り返って、ゲラゲラ笑いながら後ろから付いてくるジョーに大声でそのことを伝えた。すると、ジョーは、突然後ろから走ってきて私の手を取って走り出した。20メートルも走らないうちに、ジョーは私の手を離し、歩道の隅にしゃがみ込んで吐き出した。それを見たリンは同情するどころか、お腹を抱えて笑い出した。私もつられて笑い出した。なんだか、ジョーが滑稽でならなかった。
「ジョーはあなたのこと気に入ったみたいよ」
と何度も言って、私をからかった。
「リン! 私は、もうジョーの隣には座りたくない。次の店では、リンの隣にしか座らない」
と囁くように言うと、リンは振り返って、ゲラゲラ笑いながら後ろから付いてくるジョーに大声でそのことを伝えた。すると、ジョーは、突然後ろから走ってきて私の手を取って走り出した。20メートルも走らないうちに、ジョーは私の手を離し、歩道の隅にしゃがみ込んで吐き出した。それを見たリンは同情するどころか、お腹を抱えて笑い出した。私もつられて笑い出した。なんだか、ジョーが滑稽でならなかった。